働くキャッシュカウ

財務分析を通じて高配当株に長期で投資し、投資先が生み出すキャッシュを分けてもらっています。

九州電力 通期業績予想発表

 今週は市場にいろいろなことがあった1週間でしたが、昨日、自分が大勝負をかけている九州電力が第3四半期決算を発表すると同時に、通期の業績予想を公表しました。電力各社はこのタイミングで通期業績予想を発表していたので、九電も歩調をあわせたようですね。

 まず、いちばん期待していた復配発表が見送られました。心底失望しました。「今後予想が可能になった時点で」配当予定額を発表するということです。この抽象的な表現では、いつになるか分からないですね。最悪、4月末の通期決算発表時まで待たされる可能性があります。待ち続けているのに、また先延ばしとはなあ。

 一応、優先株に対する配当も未定としていて、さすがに優先株には配当すると思うので、今回、普通株に対する復配発表が見送られたことが配当なしを意味するわけではないと思います。電力各社の状況を見ても、少しづつ配当を増やすなど、業績の好転を配当に反映しているので、九電も復配すると思うんですけどね。早く発表して欲しいところです。

 第3四半期決算については、足踏みになっていました。中間期までが非常に好調で利益を積み上げており、第3四半期は原発も再稼働したので、さらに利益を伸ばしていくかと期待していましたが、良くなかったですね。中間期に1株当たり113円あった利益が第3四半期では111円になってしまいました。これを反映して、利益剰余金は、1137億円から1128億円に減少しました。

 第3四半期の3ヶ月だけで考えると、実質的に赤字だったことになります。

 何が原因だったのかを見てみると、修繕費が大幅に伸びていました。上半期の6ヶ月間で584億円だった修繕費が、第3四半期の3ヶ月間だけで400億円になっていました。原発再稼働までは補修を先送りすると会社が説明していたので、第3四半期に入って、本格的なメンテナンスを始めたんでしょうね。これに加え、原油値下がりと電気料金引下げのタイムラグによる増益効果も小さかったようです。

 貸借対照表を見ると、中間期末から資産が400億円、負債がほぼ同額減少していました。特に、有利子負債が3ヶ月で380億円程度削減されていました。かなりの速度で有利子負債を減らしているようです。このため、利益剰余金が減少したものの、自己資本比率は微増となっていました。増資など資金調達懸念がくすぶっているので、これはポジティブに評価できる点です。

 通期の業績予想は、経常利益が800億円、純利益が527億円で、1株当たり137円です。前提が為替122円、原油52ドルなので、現在の状況を考えると保守的で、上方修正の余地がありそうです。

 今回の決算については、足踏みとなったものの、理由が納得できるものであり、大きな問題はないかなと思います。特に、中間期までが良すぎたので。昨日の日銀の追加緩和で長期金利も0に近づいており、中期的に九電の利払負担を和らげていく効果が期待でき、また、電力セクター全体が原発再稼働で今後、活気づいていくと思います。そのため、保有を継続する方針です。

 とりあえず、復配の発表を待ちたいと思います。思ったより九電とは長い付き合いになりそうですね。