働くキャッシュカウ

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九州電力 2016年9月中間決算

 中間決算の発表は今日がピークとなりましたが、自分が大勝負している九州電力も中間決算を発表しました。

 結果は非常に良かったのですが、会社の対応に疑問を感じました。

 まず、中間決算を概観すると、経常利益は1,003億円でした。熊本地震の特別損失100億円を消化して、純利益は814億円でした。今日の時価総額は4,519億円ですから、驚異的な利益率ですね。1株当たり利益は168円。現在の株価953円はありえない割安な水準だと思います。

 昨年から九州電力は業績が改善しており、それに伴って有利子負債の削減に努めています。前期末と比較して、今年の第1四半期末では有利子負債が464億円減りましたが、中間期末はそこからさらに454億円減っています。巨額の利益と有利子負債の削減で、自己資本比率は11.8%に上昇しました。

 前期末は、単体の利益剰余金が426億円のマイナスで、期末配当も資本剰余金を取り崩しましたが、中間期末に単体で756億円の利益を出していますから、繰越損失を一掃できたようです。

 ということで、中間決算は非常に良好でした。財務の改善が着実に進展しています。あとは利益を積み上げて、優先株を消却していくのが次の目標ですね。

 その一方、会社が何をしたいか分からない点が多々ありました。

 まず、例年発表している中間決算の業績予想を今回は出さず、今日まで決算発表を引っ張っていました。他電力は早々に業績予想を発表し、中間配当を見送ったため、九州電力は何とか中間配当を出そうと努力しているのだろうと思っていました。今日になってこれだけの利益を計上したにも関わらず、中間配当は見送りでした。理解できません。

 また、今回の中間決算の発表と同時に、通期の業績予想を発表し、営業利益1,000億円、経常利益750億円、純利益600億円としました。中間期末で814億円の純利益なのに、期末が600億円なので、下半期で200億円以上の赤字を出すということになります。

 確かに電力会社は下半期の業績が厳しくなる傾向にありますが、前期は上半期535億円に対し、下半期も199億円の利益を計上しています。川内原発が定期検査になっても、さすがに下半期で200億円以上の赤字は保守的に見積もりすぎだと思います。

 そして、これだけ保守的な通期予想を出したにもかかわらず、配当は未定。

 正直、会社側は株価を安く抑えたいのかなと感じました。投資をしてけっこう長い時間が経ちますが、九州電力のIRには失望しっぱなしです。

 おそらく下半期に川内原発が定期検査を終えて稼働し、玄海原発も再稼働直前まで進むと思います。期末業績は上振れすると見ていますので、さすがにまともな配当を出して欲しいですね。業績が改善しているのに、これだけ株価が低迷していることに経営者は危機感を持って欲しいところです。

 ただ、実績としての財務は改善しているので、保有は継続していきます。