働くキャッシュカウ

財務分析を通じて高配当株に長期で投資し、投資先が生み出すキャッシュを分けてもらっています。

九州電力 2017年3月決算 増配へ

 昨日は九州電力の前期決算が発表になりました。転換社債の発行が発表されてから、株価は低迷していたので、決算がカタリストになるのを期待して待っていました。

 結果はなかなか良かったですアップ

 売上はほぼ前年と変わらず、営業利益は1,226億円、経常利益は942億円、純利益は792億円でした。前年の純利益が734億円だったので、川内原発が稼働していればこれぐらいの水準の利益は安定して出せると言っていいと思います。1株利益は160円で、週末の終値1202円はPER7.5倍です。

 今期は熊本地震の特別損失100億円がなくなり、ガス自由化も寄与するため、利益は自然に伸びていきそうです。さらに玄海原発再稼動の地元同意がなされ、工事計画認可申請、保安規定認可申請の補正書が出されていることを考えると、今年の後半にも玄海原発が再稼動すると思います。再稼動が実現すれば業績が劇的に改善するため、この状況でPER7.5倍だと株価はかなり割安ですね。

 利益の積上げによる財務の改善が進み、自己資本比率は12%に達しています。経営は順調です。

 配当については増配を発表しました。2016年3月期に復配し、5円配当でしたが、配当原資がその他資本剰余金でかなり無理を感じる配当でした。2017年3月期は10円の配当を予告していましたが、増配により15円となりました。配当原資もその他利益剰余金で、ようやく利益から配当するという通常の姿勢に戻りました。

 今回の決算で意外だったのは、優先株の買戻しがなかったことです。優先株は3.5%という高率の配当をしなければならず、会社には大きな負担になるので、他電力の例を見ても、少しづつ買戻しを進めるべきだと感じます。財務の改善は進んでいるものの、優先株転換社債で資金を調達しており、脆弱性がまだまだ残っていますね。

 転換社債の発行など会社側の姿勢には疑問を感じるものの、決算が発表されるごとに財務の改善が確認できているので、株価は低迷していますが保有を継続していきます。電力各社の株価は配当にほぼ比例しており、今後の九州電力の株価も配当がどうなるかが重要だと思います。次は、玄海原発の再稼動と中間配当の復活が鍵になりそうです。